梅毒とは、梅毒トレポネーマに感染することによりおこる性感染症(STI)の一つです。
昔は不治の病として恐れられていましたが、現代では『ペニシリン』の発見により治療可能となりました。
しかし、放置すると最悪の場合、死に至る病気ということもあり侮ることはできません。
早期発見、早期治療を心がけるようにしましょう。
まずは梅毒の特徴について、表にまとめましたのでご覧ください。
原因 | 感染している人とのセックス・フェラ・クンニ・ディープキス |
---|---|
性行為以外での感染 | あり (感染力が強い) |
症状 | 男女:痛みを伴わないシコリ、赤褐色のバラ疹 |
検査 | 血液検査 |
検査費用 | 自由診療:9,000円程度 保険適用:2,000円程度 |
治療 | 【治療期間】 2週間〜4週間程度 【治療方法】 抗菌薬の服用 |
治療費用 | 自由診療:10,000円程度 保険適用:1,500円程度 |
潜伏期間 | 3~6週間 |
備考欄 | 一度症状が治まるため、自然治癒したと勘違いすることがある。 進行すると大きな健康被害をもたらす為、早期発見・治療が重要。 |
それぞれの項目について詳しく解説していくと共に、どうすればいいのかなどについても紹介していきます。
梅毒とは?
梅毒とは、梅毒トレポネーマに感染することによりおこる性感染症(STI)の一つです。
感染している人の皮膚や粘膜、血液、体液に潜んでおり、性行為だけでなく、オーラルセックス(フェラ・クンニ)やアナルセックス、キスだけでも感染してしまいます。
感染部位は性器周辺、口腔粘膜や咽頭周囲の粘膜などがあります。
梅毒の潜伏期間
3〜6週間
梅毒の潜伏期間は、3~6週間程度です。
患者数の推移と数
上記は、厚生労働省が発表している図を引用したものです。
梅毒の患者数は、2010年以降大幅に増加してきています。
海外では、収束に向かっている中、日本でこれほど拡大しているのは異例で、大きな危機感を抱いています。
その為、日本感染症学会では『ストップ!梅毒プロジェクト』を発足するなど対応しています。
梅毒感染者の年齢・性別
上記は、同じく厚生労働省が発表している図を引用したものです。
20代〜40代の男性、20代の女性に感染者が多い傾向にあります。
梅毒の原因

梅毒は、『梅毒トレポネ−マ』(上記画像)という病原体が原因となっており、性行為やオーラルセックス(フェラ・クンニ)・キスなどにより感染します。
つまり、すでに感染している人との性行為やキスによって感染するということです。
なので、感染していない人との性行為や体調の変化によって梅毒になるということはありません。
逆に、カンジダや性器ヘルペスなどの性感染症は、体調の変化などにより性行為をしていなくとも再発することがあります。
詳しい内容についてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

梅毒の症状
ここからは梅毒の詳しい症状についてみていきましょう。
※多くの場合は症状が出ますが、症状が出ない「無症候性梅毒」の状態で、永年にわたり気がつかないまま過ごすケースもあります。疑わしい行為がある場合、積極的に検査しましょう。
梅毒は、先天梅毒と後天梅毒に分けられます。
その名の通り、先天梅毒は生まれもって梅毒である・後天梅毒は後で感染したという違いです。
先天梅毒は、母親が梅毒であったなどのようなケースが考えられます。
ここでは、後天梅毒の症状について中心的に見ていきます。
梅毒の症状には、第一期から第四期までのフェーズがあります。
現代では、第二期までの間に気がつくことが多くそれ以降のフェーズに行くことは稀です。
それぞれのフェーズ毎に、症状をまとめましたので確認してください。
フェーズ | 感染からの時期 | 症状 |
第一期 | 3週間〜3ヶ月 | ・感染部位に、しこりや腫瘍ができる ・足の付け根のリンパ節が腫れる |
第二期 | 3ヶ月〜3年 | ・「バラしん」と呼ばれる特徴的な全身性発しんが現れる ・赤い目立つ発しんが手足の裏から全身に広がる |
第三期 | 3〜10年 | 皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生 |
第四期 | 10年以降 | 多くの臓器に腫瘍が発生 脳、脊髄、神経を侵され麻痺性痴呆、脊髄瘻を起こし、死亡に至る可能性がある |
梅毒は放置するとかなり危険です。
特に、第二期の『バラしん』は放置すると1ヶ月程度で収まってしまいます。
それは、完治したのではなくゆっくりと進行が進んでいる状態なのです。
この状態かもしれないと思った場合は、早期に検査を受けるようにしましょう。
梅毒の検査
梅毒の検査には、脂質抗原(カルジオリピン)に対する抗体を測定するRPR法とトレポネーマ(Treponema:TP)に対する特異的抗体を測定するTP抗体検査法(TPHA法等)があります。
わかりやすくするため、RPR法とTP法と呼びます。
どちらの検査も、血液検査を行う方法です。
スクリーニング検査としてRPR法が陽性、さらにTP法が陽性だった場合に、梅毒抗体陽性と判定します。
疑わしい行為から、2ヶ月以上経っている場合はTP法のみの検査の場合もあります。
それぞれ特徴がありますので、以下の表にまとめました。
検査方法 | RPR法 | TP法 |
対象者 | 疑わしい行為から、1ヶ月以上・2ヶ月未満 | 疑わしい行為から2ヶ月以上 |
梅毒の検査についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

検査費用
検査費用 | 【保険適用】 2,000円程度 【自由診療】 9,000円程度 |
検査費用は、保険適用する保険診療か保険適用をしない自由診療なのかによって違ってきます。
検査費用、治療費ともに保険診療の方が安いです。
しかし保険診療での検査や治療を受けた際には、年明けに届く『医療費のお知らせ』と呼ばれる明細書に記載されてしまいます。
自宅に届く場合には、家族が開封することで治療を受けていることがバレてしまうかも知れません。
その点、自由診療の場合、『医療費のお知らせ』などに記載されることはないため家族にバレることなく治療することができるのです。
そのため性病検査(性感染症検査)では、自由診療で治療する人が多くいます。
とは言っても、保険診療の方が安く済むので、特にバレたくないなどの理由がない方は保険診療で治療するのがいいでしょう。
性病の検査で保険診療を受けるに当たっては、『実際に症状が出ている』必要があります。
具体的には性行為後からむず痒い、赤みがある、痛みがあるなどです。
『なんとなく心配だから検査をしたい』『定期的に受けたい』
という場合には保険診療することができませんので注意してください。
性病検査(性感染症検査)における保険診療について詳しくはこちらをご覧ください。

検査の結果がわかるまでの期間
検査の結果がわかるまでの期間は、通常は数日から1週間程度です。
自由診療の場合、即日で結果がわかる医療機関もあります。
数千円値段が上がっても即日で検査結果が知りたいという方は、自由診療を利用するのもいいでしょう。
治療方法
実際に梅毒になってしまった場合の治療方法について紹介していきます。
自然治癒可能か、治療の費用や期間、梅毒の治療薬や市販薬などについて触れていきます。
梅毒の自然治癒は可能か?
結論から言えば、不可です。
梅毒は放置すると死に至るほどの危険な病気です。
治療することで治りますので早期に治療を行うようにしてください。
治療費用と治療期間
梅毒の治療費用は、保険診療か自由診療かによって異なります。
保険診療の場合:1,500円程度
自由診療の場合:10,000円程度
となっています。
梅毒の治療には、ペニシリン系の抗生物質を服用することで治療を行います。
症状の進行具合などによりますが、2週間〜3ヶ月程度服用するケースもあります。
治ったかの確認(確認検査)
治療が十分であるかの確認のために、上記の抗生物質服用後、1ヶ月程度後に確認検査を行います。
問題がなければ、治療完了となりますが、検査次第では再度の検査するもしくは、治療するということもあります。
これは完全にケースバイケースなので、医師の判断に従うようにしてください。
梅毒の治療薬
・ペニシリン系
梅毒の治療には上記のような薬が処方されます。
このペニシリンが発見されるまで、梅毒は不治の病として恐れられていました。
現在では、ペニシリン系以外の薬でも梅毒を治療することができますが、アレルギーなどがなければペニシリン系の抗生物質を処方されるのが一般的です。
市販薬での治療は可能か?
結論から言えば不可です。
上記のような薬をネットなどで購入することもできますが、非常に危険です。
それは、服用する順番や量を間違えてしまうと抗生剤に対する『耐性』が生まれてしまい薬が効かない状態になってしまうからです。
新型コロナウイルスが変異したように、あなたの誤った服用によって新しい細菌が生まれてしまう可能性もあります。
梅毒の治療の際には、必ず医療機関を受診し治療してください。
梅毒の薬についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

まとめ
最後に梅毒の特徴についておさらいしておきましょう。
原因 | 感染している人とのセックス・フェラ・クンニ・ディープキス |
---|---|
性行為以外での感染 | あり (感染力が強い) |
症状 | 男女:痛みを伴わないシコリ、赤褐色のバラ疹 |
検査 | 血液検査 |
検査費用 | 自由診療:9,000円程度 保険適用:2,000円程度 |
治療 | 【治療期間】 2週間〜4週間程度 【治療方法】 抗菌薬の服用 |
治療費用 | 自由診療:10,000円程度 保険適用:1,500円程度 |
潜伏期間 | 3~6週間 |
備考欄 | 一度症状が治まるため、自然治癒したと勘違いすることがある。 進行すると大きな健康被害をもたらす為、早期発見・治療が重要。 |
症状から自分がどの性病(性感染症)になっているのか知りたい、どこの医療機関に行けばいいのかわからないという方はこちらのページで症状別の性病を紹介しているのでそちらも参考にしてみていください。
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