淋病は淋菌という菌が原因となっている性感染症(STI)の一つです。
まずは淋病の特徴について、表にまとめましたのでご覧ください。
原因 | 感染している人とのセックス・フェラ・クンニ |
---|---|
性行為以外での感染 | 若干あり (キスによる感染) |
症状 | 男性:尿道から膿、排尿時の痛み 女性:おりものの増加、臭い |
検査 | 【検査方法】 分泌液による検査 【検査可能時期】 感染より24時間経過後 |
検査費用 | 自由診療:9,000円程度 保険適用:2,000円程度 |
治療 | 【治療期間】 1日程度 ※クラミジアと合併している場合は、1週間程度 【治療方法】 1回の点滴のみ ※クラミジアと合併している場合は、抗生物質も服用 |
治療費用 | 自由診療:10,000円程度 保険適用:1,500円程度 |
潜伏期間 | 2~7日 |
備考欄 | 淋病感染者の3割程度がクラミジアを合併 |
それぞれの項目について詳しく解説していくと共に、どうすればいいのかなどについても紹介していきます。
淋病とは?
淋病とは、淋菌を原因とする性感染症の一つで性行為全般によって感染します。
感染する部位は、性器だけでなく肛門や喉(のど)などがあります。
咽頭淋病

咽頭(いんとう)淋病とは、のどに感染した淋病のことです。
主に、フェラチオ・クンニリングスなどのオーラルセックス・キスなどによって感染します。
詳しい内容は以下の記事で解説しております。

肛門淋病

肛門(こうもん)淋病とは、肛門に感染した淋病のことです。
主に、アナルセックスなどによって感染します。
淋病の潜伏期間
2〜7日
淋病の潜伏期間は、2~7日程度です。
患者数の推移と数
図1 感染症発生動向調査における淋菌感染症定点当たり報告数、2000-2020年

※ 定点とは、感染症の状況を把握するために国が調査対象として決定している医療機関のことです。
上記は、国立感染症研究所が発表している図を引用したものです。
淋菌の患者数は、2001年〜2002年をピークに減少し、2016年からは横ばいになっています。
淋菌の原因
図2. 男性尿道炎患者からの尿道分泌物の塗抹標本(グラム染色)
左:淋菌を貪食している白血球(好中球)。胡麻のように見えるのが淋菌で、2個対になっている。
右:貪食をしていない通常の白血球。
淋病は、『淋菌』(上記画像の胡麻のように見えるもの)という病原体が原因となっており、性行為やオーラルセックス(フェラ・クンニ)などにより感染します。
つまり、すでに感染している人との性行為によって感染するということです。
なので、感染していない人との性行為や体調の変化によって淋病になるということはありません。
逆に、カンジダや性器ヘルペスなどの性感染症は、体調の変化などにより性行為をしていなくとも再発することがあります。
詳しい内容についてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

淋病の症状
ここからは淋病の詳しい症状についてみていきましょう。
男性の症状

◆尿道の違和感・かゆみ
◆尿道炎によって激しい尿道痛
◆性器から黄白色のドロっとした膿が出る。
◆進行すると精巣上体炎といった病気を発症する。
淋病に感染すると上記のような症状が出ることがあります。
男性の場合は、主に尿道炎になることが多いため比較的容易に気がつくことができます。
女性の症状

◆膿のようなおりものが出るなどの変化
◆性器の違和感
◆進行すると複数の病気を併発するため放置は危険
◆特に、妊娠中の感染は流産や骨盤内感染症、早産、破水の原因となるためかなり危険
淋病に感染すると上記のような症状が出ることがあります。
女性は感染初期の場合、症状が出ないことがあり男性に比べて気がつきにくい傾向にあります。
ただ長く放置すると併発して悪化するため、異変や心当たりがある行為をした場合速やかに検査をするようにしましょう。
淋病は放置すると不妊に繋がる恐れもあるため早期発見・治療を心がけるようにしましょう。
淋病の検査
淋病の検査には大きく分けて、抗原検査(分泌液検査)と抗体検査(血液検査)の2つがあります。
抗原検査は、分泌液(尿や、うがい液)を採取しウイルスを増幅させることで検査する方法です。
この方法のメリットは、感染部位が明確にわかることです。
抗体検査は、血液を採取し検査する方法です。
この方法のメリットは、過去に感染したかどうかわかることです。
抗体検査(血液による検査)では、現在感染しているのかわからない・どの部位に感染しているのかわからないため通常の検査では、抗原検査(分泌液による検査)が行われます。
淋病の検査についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

検査費用
検査費用 | 【保険適用】 2,000円程度 【自由診療】 9,000円程度 |
検査費用は、保険適用する保険診療か保険適用をしない自由診療なのかによって違ってきます。
検査費用、治療費ともに保険診療の方が安いです。
しかし保険診療での検査や治療を受けた際には、年明けに届く『医療費のお知らせ』と呼ばれる明細書に記載されてしまいます。
自宅に届く場合には、家族が開封することで治療を受けていることがバレてしまうかも知れません。
その点、自由診療の場合、『医療費のお知らせ』などに記載されることはないため家族にバレることなく治療することができるのです。
そのため性病検査(性感染症検査)では、自由診療で治療する人が多くいます。
とは言っても、保険診療の方が安く済むので、特にバレたくないなどの理由がない方は保険診療で治療するのがいいでしょう。
性病の検査で保険診療を受けるに当たっては、『実際に症状が出ている』必要があります。
具体的には性行為後からむず痒い、赤みがある、痛みがあるなどです。
『なんとなく心配だから検査をしたい』『定期的に受けたい』
という場合には保険診療することができませんので注意してください。
性病検査(性感染症検査)における保険診療について詳しくはこちらをご覧ください。

検査の結果がわかるまでの期間
検査の結果がわかるまでの期間は、通常は数日から1週間程度です。
自由診療の場合、即日で結果がわかる医療機関もあります。
数千円値段が上がっても即日で検査結果が知りたいという方は、自由診療を利用するのもいいでしょう。
治療方法
実際に淋病になってしまった場合の治療方法について紹介していきます。
自然治癒可能か、治療の費用や期間、淋病の治療薬や市販薬などについて触れていきます。
淋病の自然治癒は可能か?
結論から言えば、不可です。
長期間の性感染症は、性器に大きな負担をかけてしまうのですぐに治療するのがいいでしょう。
治療を行えば1日の点滴や注射で完治します。
治療費用と治療期間
淋病の治療費用は、保険診療か自由診療かによって異なります。
保険診療の場合:1,500円程度
自由診療の場合:10,000円程度
となっています。
淋病の治療には、点滴もしくは筋肉注射によって治療を行います。
医療機関によって若干違いはありますが、
点滴であれば、セフェム系
筋肉注射であれば、アミノグリコシド系
を使うことが一般的です。
以下に点滴と筋肉注射の特徴についてまとめました。
淋病の点滴と筋肉注射の特徴
方法 | 点滴 | 筋肉注射 |
薬の種類 | セフェム系 | アミノグリコシド系 |
時間 | 15分〜30分程度 | 1分程度 ※基本的に注射一回で完了 |
治ったかの確認(確認検査)
別の治療の際に抗生剤を服用しており、耐性が出来ている場合、他の抗生剤を使用しなければなりません。
そのため薬の投与後、治ったかの確認のため検査を行うことがあります。
投与完了後、3~4週間程度あけて検査するのが一般的です。
淋病の治療薬
・セフェム系
・アミノグリコシド系
淋病の治療には上記のような薬が処方されます。
どの薬を処方するかは医師の判断になるので、必ず従うようにしてください。
市販薬での治療は可能か?
結論から言えば不可です。
上記のような薬をネットなどで購入することもできますが、非常に危険です。
それは、服用する順番や量を間違えてしまうと抗生剤に対する『耐性』が生まれてしまい薬が効かない状態になってしまうからです。
新型コロナウイルスが変異したように、あなたの誤った服用によって新しい細菌が生まれてしまう可能性もあります。
淋病の治療の際には、必ず医療機関を受診し治療してください。
淋病の薬についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

まとめ
最後に淋病の特徴についておさらいしておきましょう。
原因 | 感染している人とのセックス・フェラ・クンニ |
---|---|
性行為以外での感染 | 若干あり (キスによる感染) |
症状 | 男性:尿道から膿、排尿時の痛み 女性:おりものの増加、臭い |
検査 | 【検査方法】 分泌液による検査 【検査可能時期】 感染より24時間経過後 |
検査費用 | 自由診療:9,000円程度 保険適用:2,000円程度 |
治療 | 【治療期間】 1日程度 ※クラミジアと合併している場合は、1週間程度 【治療方法】 1回の点滴のみ ※クラミジアと合併している場合は、抗生物質も服用 |
治療費用 | 自由診療:10,000円程度 保険適用:1,500円程度 |
潜伏期間 | 2~7日 |
備考欄 | 淋病感染者の3割程度がクラミジアを合併 |
症状から自分がどの性病(性感染症)になっているのか知りたい、どこの医療機関に行けばいいのかわからないという方はこちらのページで症状別の性病を紹介しているのでそちらも参考にしてみていください。
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